ある情報によると中島公園内には100種5,530本の樹木があると言う。倒木も植樹もあるが、現状もこの数値に近いと考えられる。時には台風に襲われ樹木が何十本も倒れることもある。それでも、周辺の木々は成長し続けるので、台風被害の痕跡は時がたてば分からなくなる。
ところが、台風や危険木伐採で様変わりした景観が二カ所ある。一つは地下鉄幌平橋駅から行啓通の西に延びている道路のポプラ並木。もう一つは中島公園西側を流れる鴨々川沿い遊歩道のヤナギ並木。共に素晴らしい景観だが消失した。
ポプラ並木は2004年9月8日の台風18号で一挙に倒壊し消滅した。一方、ヤナギ並木は30年以上かかってじわじわと減り、今年も危険木として3本が伐採された。1988年に64本あったヤナギは5本に激減、消滅寸前の状態である。
1.2004年9月8日、台風で消滅したポプラ並木
2001年に中島公園近くに転居して一番気に入ったのが、天を突くように林立する行啓通のポプラ並木だった。残念ながら、台風18号で一挙に倒壊し消滅、今は見る影もない。

ポプラ並木は台風で全て折れた。そして、伐採された。画像は公園近くに転居した2001年11月3日に撮影。
20年たった今は、まるで別な道路の様だ。
2021年10月22日撮影。

台風第18号で軒並み折れたポプラ並木は後に伐採された。画像は台風翌日の2004年9月9日に撮影。
2.じわじわと消滅間近のヤナギ並木
『中島公園百年』 山崎長吉著に次のように書かれていた。「中島橋から川ぶちにシダレヤナギが続く。札幌で一、二といわれるヤナギの街路樹は詩情を誘うに十分なものがある。その数64本。(中略)鴨々川のヤナギは京都の鴨川のヤナギ並木を模して、川ぶちの料亭鴨川(南12条西6丁目)が植えたともいわれている」。転居して11年もたつのに何処の話か分からなかった。読後すぐに現場らしき所に行ってみた。
2012年秋深まる頃だった。川とは鴨々川で、中島橋とは中島公園北西側の入り口に架かる橋。そこから料亭鴨川跡地までは遊歩道になっている。ところが、64本あるはずのヤナギは21本しかない。詩情を誘うに十分な並木は大半のヤナギを失っていた。最早ヤナギ並木とは言い難い状況だ。その後も減り続け、2021年となった今は5本となり消滅寸前である。

2002年8月にはヤナギ並木もかなり見られた。
2002年10月2日の台風第21号でヤナギが倒木、その後、危険木と診断された木も伐採された。2002年10月15日撮影そして、ヤナギ並木は分断された。並んだヤナギの切り株が侘しい。2002年10月19日撮影

その後も台風による倒壊と危険木診断による伐採が繰り返された。今年、2021年秋も危険木として3本伐採された。
危険木はこのように表示される。
2021年10月4日、かろうじて残ったヤナギ並木だが、右側の一本は危険木と決定され、既に伐採されている。64本あったヤナギは5本に減った。中島橋と公園橋の間(日本庭園・豊平館裏)はヤナギ5本、イチョウ5本で14カ所が樹木升のみの状態になっている。画像の両端がイチョウ、その間は樹木升のみ。
一方、札幌コンサートホール・キタラ裏はほぼイチョウ並木に代わっている。遊歩道の左が鴨々川そしてキタラ。
以前、倒木したヤナギの跡にヤナギの若木を捕植したことがある。多くを失い、残ったのは左端の一本だけだった。この環境でヤナギを育てる難しさを痛感させる出来事だった。
2012年11月5日撮影。
3.私が考えたこと
詩情豊かなヤナギ並木の復活を願う。と言うのは簡単だが実現は難しい。それでも何とかして復活させて欲しいと思う。元々あったのだから、何らかの方法があると思うのだ。キタラ裏(公園橋、料亭鴨川跡地間)は既に大部分がイチョウ並木に代わっているので、それでいいと思う。
しかし、日本庭園・豊平館裏(中島橋、公園橋間)はイチョウは5本だけ、そしてヤナギが5本、大部分は放置され、樹木升だけが残されている。その数は14カ所、並木にするには十分だ。これは放置しているのでなく、ここにヤナギ並木を復活する方法を真剣に検討しているのかも知れない。
現にキタラ裏には25本のイチョウが、ヤナギの跡に捕植されイチョウ並木になっている。何らかの意図があって樹木升がそのまま残されていると思う。この辺りの風景は国指定重要文化財豊平館、同じく日本庭園内の八窓庵、レトロな街路灯、そして、料亭鴨川が植えたと言われるヤナギ並木で構成される札幌の歴史ゾーン。何とかして復活させようと研究、努力中。私はそう思いたい。

樹木升に咲く可憐な花はヤナギを待っている?4.後書き
10年以上前と思いますが、中島公園の歴史を書きたいと考えいろいろ調べました。その結果、私のような素人には無理と思いました。専門知識、知力体力が必要です。私に出来ることは、唯一つ、「記録を残すこと」と考えました。自分が見たことを写真や文章で残すこと。これに尽きると思い、このブログを更新中。よろしくお願いいたします。