2023年01月14日

仲よき事は美しき哉?

「仲よき事は美しき哉」とは言うけれど、仲良くなるのは難しい。ところで、82歳のヒロシは一つ下のユウコと二人暮らし。私たちは絶滅危惧種、名前がこの世から無くなろうとしているのだ。約80年前にモダンな名前として、颯爽と登場したヒロシとユウコだが今まさに消え去ろうとしている。

博、弘,宏、裕子、優子、夕子など、数え上げれば切りがないほどのヒロシとユウコが年を追うごとに減って行く。余りにも寂しいではないか。
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「まるで絶滅危惧種ですね」
「全ては変わる。観念しろ」
「何とか保護する道はないでしょうか」
「甘えんじゃないよ」
「ヒロインがユウコでヒーローがヒロシの映画を作るとか」
「無理ムリ、絶対ダメ」
「そう決め付けずに気楽に行きましょ」
「売れると思うか? 大赤字、会社倒産!」

最近の名前をみてもヒロキはあるけれどヒロシはない。ユウはあるけれどユウコはない。ホンの少し違うだけで絶滅危惧名前になってしまうのだ。「滅び行く名前の二人」が喧嘩などしていて良いはずがない。

そう思って、仲良くしようと努力しているのは私(ヒロシ)だけ。ユウコはごく自然にあるがままの人生を送っている。私だけが気をもんで我慢している。ときどき意識的にガス抜きをする。これも工夫の一つだ。

「私に悪いところがあったら、遠慮なく言ってください」
ユウコはこんな質問に、ウッカリ返事をすると損だということを知らない。一生懸命考えてからこう言った。
「家の仕事より自分のやりたいことを優先するのが悪いよ」
「例えば、どんなことですか?」
この質問に答えれば、更に墓穴を掘ることを予想もしない。
「え〜と、ゴミを直ぐに出さないことかなぁ」
「今月の目標はゴミを早く出すことにします」

今月と言っても残りは3日だ。これでは私の仕事は増えないのに不満だけは消滅する。こうして、二人で仲良く暮らすため日夜努力を重ねている。ユウコは決して私を褒めてくれないのだから、自分で自分を褒めてあげたい。

「自分を褒めて虚しくないか」
「三方良し、と言う表現をご存知ですか」
「いきなり何だ?」
「売り手良し買い手良し世間良し、のことです」
「それがどうした」
「家ではユウコ良しヒロシ良しで、世間は無し v(^_^ v)
「そして、ヒロシはユウコを騙し放題」
「いえいえ、それはあんまりです」
「なんだと?」
「仲よき事は美しき哉、と思ってください」
「盗人にも三分の理、とも言うな」
タグ:楽しい我家
posted by 中波三郎 at 00:00| Comment(0) | 自由時代(61-74歳)