2020年07月11日

映画「眼下の敵」を思い出す

何故か、上陸するのに制服着用を義務付けられていた(士官及び営外居住者を除く)。フネでは独自の「巡察隊」を組織して、上陸時の隊員が不始末をしないか監視・指導していた。私服着用まで取り締まりの対象になっているのだから嫌になる。

「巡察隊」は乗員が交代で当たるので、取り締まる方も上陸して遊ぶときは私服だから矛盾している。もう一つの決まりは深夜徘徊禁止である。上陸は私服を着て夜遊びできるから楽しいのにね。

ところで、30万トン型タンカーの乗員は23名なのに、千7百トンしかない、あさかぜ型護衛艦の定員は270名だ。単純比較は出来ないがギュウギュウ詰めであることは分かると思う。上陸員の帰艦時刻が朝なのは、狭い艦内生活を離れてゆっくり寝て欲しいからである。それなのに寝ないで遊ぶ人も多い。

同期の殆どは半年の陸上にある通信隊実習をしてからの乗艦実習だが、S君は陸上勤務の無い職種なので、6ヵ月早くフネに乗っていた。彼が数名の同期生にダンスや酒とかの悪い遊びを教えてくれた。先輩たちは少年隊員に悪い遊びを教えないように指導されたいたが、同期生が先生役になるとは盲点である。

防衛庁が用意した格安の宿泊所もあるのだが、私服も着るし深夜徘徊もしたいので、内緒で部屋を借りた。売春防止法が施行された年なので、廃業した遊郭がそのまま貸間になっていた。小奇麗で安い所が気に入った。それに、鍵一つで自由に出入りできる。

上陸すると先ず、そこに行って私服に着替える。そして、同室のS君と一緒にダンスホールに行く。そこに行けば同期の仲間がいる。来るときもバラバラだし、帰る時もバラバラという習慣がいい。皆で集まるのも楽しいが、そればかりでは窮屈だ。

ダンスホールは市内に5,6ヵ所あった。入場料は60円から100円くらいで、飲食もなくスピーカーから音楽が流れるだけ。最初はここで一緒に楽しむ。運よく相手を見つけた少年はデート、見つからない大部分の少年は、連れ立って飲み屋に行った。

最初は飲み屋について行ったが、何から何まで不潔な感じなのが嫌で1回で止めた。以前、先輩に連れて行ってもらった洒落たスタンドバーが気に入っていたので、一人でそこに行くことが多かった。部屋に帰っても、S君の帰りは遅いので独りぼっちだ。

ダンスホールで遊んで一杯飲んで帰るだけだが、私服を着て自由に街中を歩くだけでも凄く楽しかった。フネの居住区は三段の吊りベッドで座ることも出来ない。横になって入り横になって出るのだ。図体の大きいアメリカの水兵がよく寝てたものだと感心した。

私達が乗艦した米海軍の高速駆逐艦は、そんなものだった。第二次世界大戦では大西洋方面で戦たかい、1944年5月、地中海でドイツ潜水艦を撃沈する戦果を上げたと聞いている。駆逐艦対潜水艦の戦いを描いた映画、「眼下の敵」を繰り返して観ては艦内生活を懐かしんでいる。

7月15日NHKBSプレミアムTVで「眼下の敵」が上映されました。私がお馴染みの駆逐艦居住区のベッドは四段でなく三段でした。本日、お詫びと訂正いたします。思い出せば天井が低かったのです。横にならなければ出入り出来ない状況は同じです。映画の米水兵見ると本当に窮屈そうで気の毒です。私自身は平和だからこんなことが苦労でした。本当の苦労知らずです。(7月16日追記)

毎週土曜更新、またの訪問をお待ちしています!
タグ:国内某所
posted by 中波三郎 at 00:00| Comment(0) | 転職時代(15-23歳)
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