80歳を目前にして舌癌に罹り、手術の為入院することになった。初めて癌という世間でも認められる立派な病名を付けてもらって、ある意味で、とても嬉しかった。その喜びは深海竜宮病院に書いたので、ここでは省略する。
自慢するようで恐縮だが、珍しい癌だ。有名人としてはテレビドラマスチュワーデス物語の堀ちえみさんが罹っている。
幼少の頃は健康だった。10歳から元気よく走って新聞を配っていた。その頃は私が配達するのを待っている人がいて、「エライね」とか言ってお菓子をくれて励ましてくれることもあった。そんなことで、配達するのも楽しかった。
自慢するようで恐縮だが、珍しい癌だ。有名人としてはテレビドラマスチュワーデス物語の堀ちえみさんが罹っている。
幼少の頃は健康だった。10歳から元気よく走って新聞を配っていた。その頃は私が配達するのを待っている人がいて、「エライね」とか言ってお菓子をくれて励ましてくれることもあった。そんなことで、配達するのも楽しかった。
それから5年後の春、中学三年になっていた私は、坂を上るのが辛くなり走って配れなくなった。子供の頃、お菓子をくれた人に「新聞が遅い」と叱られた。体調は悪いが、学費は必要なので配達は止められない。今の常識では病院に行くべきだが、その頃、病院に行く人は滅多に居なかった。
働かなければ食ってはいけないが、体調が悪いまま働くのは凄く辛い。何をやっても続かず、8年ばかり職を転々。その結果肉体労働は、どうしても出来ないことが分かった。
何か事務的な仕事はないかと探したが学歴で無理。調べてみると、国家公務員試験だけは、受験資格で学歴を問われないことを知った。つまり、短大卒業程度の中級職も中卒で受けられる。20歳以上28歳未満の年齢制限があるだけだった。
年齢の関係で高卒程度の初級職は無理、27歳まで受けられる中級職を受けることにした。21歳のとき、兄の紹介で「インド通信東京支局」でアルバイトを始めた。実働2時間程度で、6時間は一人で留守番という、楽で暇な仕事だった。誰も居ないから一人で試験勉強ができるのだ。お陰で2年後に航空管制官試験に合格できた。
スポーツを楽しんだり、レジャーも盛んな職場だったが、私の健康状態は相変わらず悪い。仕事が終わったらさっさと寝る。目が覚めたら、本を読んだり、テレビを観たりの休養生活だった。付き合いで飲んだり旅行に行ったりするが、自由時間の全てを休養に当てた。
体調が悪く、息切れがして疲れ安い状態は続いていたので、病院にはよく行って、検査もよくやった。しかし、検査結果はいつも異常なしだ。その度に健康になるという望みは絶たれた。こんな状態が40年以上続き、虚弱体質と諦めた。
2年前は舌が痛くて飯も食えなかった。食える物もあるが塩気があれば痛い。牛乳、生卵、お粥、豆腐等いろいろあるが、塩気がなくては美味しくない。どうか立派な病名が付きますようにと祈った。舌が痛いのに異常なしなら心配だ。舌癌と言われてホッとした。これで痛いのが治る。病名が付くこと、これが快復の第一歩である。