2022年08月20日

仲直り

私がいろいろ活動して自由を楽しんでいたのは定年退職後の15年間だけだった。自由は素晴らしいことだが、いくらかのトラブルも付き物だ。80代は心ならずも持病とコロナ禍で巣ごもり時代になってしまった。静かに暮らし、それなりに幸せだが、時には自由時代を思い出して懐かしんでいる。

例えばこんなこと。その日は楽しい3人カラオケ。いつもの時間に、いつもの場所で1か月ぶりの再会だ。しかし、私たちの話に割り込んだBさんの一言で、危うく別れ別れで帰ることになるところだった。私はとぼとぼバス停へ、Aさんは車で颯爽と、左と右に泣き別れ。ひょっとしたら永遠の別れになったかもしれない。

実は、カラオケボックスに入った途端に楽しい気分も吹き飛ぶような「事件」が起こったのだ。原因は1匹の小さなハエ。トラブルの詳細はカラオケで喧嘩に書いたので、ここでは省略するが心にしこりが残ってしまった。 

karaoke3.jpeg

いつもなら「乗って行かない」と声をかけてくれるのだが、この日は違った。ハエの一件が尾を引いているようだ。  

「バス何時?」とAさん。
「40分くらい後ですね」

そばにいたBさんが口を出す。「歩いて行けばいいじゃない。真っすぐ行けば豊平川、後は簡単よ」。確かに道順は簡単だが、1時間以上もかかりそうだ。今日はバスで帰るつもりだったが、Bさんの一言で気が変わった。「乗せてくれない」と、Aさんに頼んだ。意外にもこころよく乗せてくれた。車の中でAさんがいった。

「歩くの嫌なの?」
「嫌じゃないけど、お名残惜しいでしょ」
そう」
「ハエのことではゴメンナサイ」

便乗させてもらっている身としては、生き物を踏み潰してはいけないとは言えない。我が家では家に蜘蛛などの虫が入ってきても、ティッシュで軽く掴みベランダに出すだけ。虫の脱出を確認してからティッシュを回収してゴミ箱に入れる。虫の生死は自然に任せている。

「踏み潰さなければ、1時間も2時間もブンブン飛び回ってうるさいでしょ」
カラオケ中はブンブンなど聞こえないとは言わない。
「お陰様で、ハエに邪魔されないで楽しいカラオケでした」
「バスがくるまで、お茶でも飲もうかと思ったのよ」
「今から行きましょうか?」
「もう、いいよ。話は済んだからね」

アレレ、謝らせてお仕舞いかと思ったが、ここはAさんの車の中。ジッと我慢だ。しかし、これで終わりではなかった。Aさんは決して謝らない。その代わり命令を下す。「いろいろありましたが、丸ごとひっくるめて付き合ってください」。後でメールにこう書いて来たので、思わず笑ってしまった。付き合って20年、巣篭もり中の今でも時々LINEで話したりしている。

posted by 中波三郎 at 00:00| Comment(0) | 自由時代(61-74歳)
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