2022年09月17日

幸せのスーパーメロン

ドラマを観ていると、こんなシーンによく出会う。男が女に「僕は貴女を必ず幸せにします」とか言っている。ずいぶん安っぽいセリフだ。私が幸せになるのは簡単だ。美味しいメロンが4分の1個もあれば充分である。

しかし、メロン4分の1で誰もが幸せになれると思ったら大間違い。そこまでに至るプロセスが肝心だ。大まかに振り返れば3年間だが、長すぎるので直近の3ヶ月の記憶をたどった。その頃、ある治療の副作用で味覚障害になり、口の中も粘膜炎で痛かった。それでも食べなければ体が持たない。
詳細→放射線治療、自宅→入院→自宅

生きる為に一生懸命食べた。痛くては食べられないので口の麻酔をしながら1日3食を完食。それを見た看護師さんが「カロリーが足りないので食事を増やしましょう」と言った。私の我慢は限界に達していたので、1階のコンビニで買い食いするからいいと断った。そうしたら、毎食後にプリンを付けてくれた。
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これを口に含んでブクブクすれば、口の痛みが和らぎ食事が出来る。

ところで定年後、4回入院したが病院の食事だけで済ました。食事も治療の内と考えたからだ。今回初めて、栄養補給のために買い食いをした。先ずはケーキと饅頭、すごく不味かった。病院の食事より格段と不味い。ジュース、チョコ、果物の缶詰、色々試したが全部不味くて、2度と食べる気がしなかった。

やっと見つけたのが、牛乳とソフトサラダと言う名の柔らかい塩せんべい。旨くはないけれど嫌な味もしなかった。ソフトサラダはカリカリという感触が好きだった。ご飯も薄切りの食パンも味がない点が好かった。本来の味はあるのだが私には感じない。つまり、食事をして美味いと思ったことはない。

退院して1ヶ月半もすると、味覚が徐々に戻ってきた。2ヶ月たったころには90%程度回復した。なぜか、お茶と高級ジュースは渋くて不味かった。高級なものほど回復が遅いのだ。ともかく、味覚回復は普通6か月、長い人は1年と言われていたのに2ヶ月でほぼ回復した。1年もかかった人は、私と違って食通だったと思う。世の中何が幸いするか分からない

味覚障害とは味を失うことでなく、美味いものを食いたくなくなるほど不味くすることと知った。舌癌手術後にした鼻から胃袋にチューブで栄養を送る方が楽だった。だけど、苦あれば楽ありとは本当だった。

味が回復して初めて食べたメロンが美味しかった。「幸せだなぁ、僕はメロンを食べている時が一番幸せだ」と心から思った。この幸せ感がなんとも言えない。幸せになるのは簡単だ、美味しいものを食べれば良い。

「メロン食べて幸せになりました」
「夕張メロンかい」
「スーパーメロンです」
「聞いたことないなぁ、高いだろう」
「ええ、凄く高かったですよ。安売りなのに1280円もしました」
「そうかい、どこで買ったの?」
「近所のスーパーです」
タグ:札幌
posted by 中波三郎 at 00:00| Comment(0) | 80歳以降
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