2023年03月04日

男はつらいよ

恋愛とはおかしな言葉だ、英語で恋はLove、そして、愛もLove。ならば、恋愛はラブラブか? それならば、片思いこそ真のラブである。ラブラブ−ラブ=ラブとなる。自分なりに解けた。こう考えれば世渡りは楽しい。

Aさんは、病気一つしたことのない力持ち。山に登るときも疲れている人の荷物を持ってやるほどだ。そのAさんが不治の病に犯されてしまった。男らしい寡黙な人だったが今はよく話し、内容も以前とはずいぶん違う。柄にもなくロマンチックなことを言うようになった。その反面、妙に現実的な部分も出てきた。

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「ガラスの城」1950年製作、ミッシェル・モルガン、ジャン・マレー

「恋をしてるんだ。Bさんのことが何故か頭から離れない。片想いだから都合がいいんだ。お金はかからないし、トラブルの心配もない。おまけに振られる心配もないんだよ」
「そんなもんですか。私も倹約は大好きです」
「Bさんのことを思うと何か暖かい気分になれるんだよ。片想いなんて思っただけで恥ずかしいけどね」
「好いじゃあないですか。お金もかからないし」

「病気になって吹っ切れたよ。いろいろとな」
「いろいろ何ですか? 聞かせてくださいよ」
「嫌だね。誤解するから」
「Bさんは、明朗活発、頭脳明晰、美しい方ですね」
「そうそう、素晴らしい方だな」
「片思いでもですかぁ」
「まぁ、な」
「トラブルの心配も振られる心配もないから最高ですね!」
「… …  ムカッ(-_-メ)」

それでもAさんは気を取り直して話し始めた。話題を少し変えて恋愛談となるが、Bさんへの想いからは離れられない。
「恋愛をを3つに分け順番をつけてみたんだ。一番は相思相愛、二番は片想い、そして三番が恋愛もどきかな」

「なんで、哀れな片思いが二番なのですか?」
「恋愛もどきの悪いところは嘘をつくことだ。相手にも自分にもな。それに、見栄を張るので金もかかる。いずれ別れるか、一生猫被るかどっちかだよ」
「我輩は猫である」
「分かってるよ。丸くおさまりゃ何でもいいんだろう。片想いは、妥協はしない、見栄張らない、しかも純粋だよ」

「どこが楽しいのですか?」
「古い映画の話になるが無法松は幸せだったと思うよ。俺も無法松を見習ってBさんの為に誠心誠意尽くしてきた。何気なく尽くしてきた。この何気なくが一番大切なことなんだよ。自分の感情の片鱗も見せたことないよ」

「あなたは私にも、とても親切ですね」
「Bさんにだけに親切では、何気なくにならんだろう」
「なーんだ、目くらましですか」
「すまん」
「男はつらいですねぇ」
タグ:ときめく
posted by 中波三郎 at 00:00| Comment(0) | 自由時代(61-74歳)
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